自律神経と汗の関係
汗をかくことは私たちの身体にとって欠かすことのできない、とても大切な生理的現象です。多汗症は、そんな汗を調節する機能が乱れてしまう病気です。
特に激しい運動をしたわけでもなく、暑いわけでもないのに多量の汗をかいてしまう。主に手や足、局所的な汗をかくことが多く、少し汗ばむ程度から滴り落ちる程のものまで、多汗症の症状は人によっても様々です。
多汗症やワキガの原因をお話する前に、まずは汗の働きや種類など、基本的知識からご説明します。発汗は大きく3つに分けることができます。
気温の上昇や運動、病気の発熱などで体温が高くなった時に発汗が起こります。汗の最も重要な役割は体温を調節することです。通常であれば、汗をかくことで、気化熱の働きによって体温を下げようとします。
液体は気体になるときに周囲の熱を吸収します。汗も蒸発するときに熱を奪うので、体を冷やすことができるのです。つまり発汗は天然の打ち水と言えます。体温を36.5℃前後(体内の細胞や機関を効率よく働かせるのに適した温度)に保つことで身体機能は正常に働きます。
もし汗を全くかかなくなってしまうと、熱が体にこもってしまい、身体機能は働かなくなり、人間は死んでしまいます。この様に汗をかくことは、生命維持にとっても重要な働きをしています。
緊張、興奮、不安などによって引き起こされる発汗です。面接やプレゼン、発表会、アクション・ホラー映画などを見たときなど、精神的な理由が原因で発汗します。一般的にいう冷や汗です。
手の平や、足の裏、脇、額などの局所的な汗をかくことが多いです。局所的な汗をかくのは、人が狩りをしていたときの名残と言われています。手の平や足の裏を湿らせることで、物や地面をつかみやすくしていたと考えられています。
不安や緊張が原因の多量の汗(普通とは明らかに違う発汗)の異常症状を精神性発汗型多汗といいます。精神性発汗は、多汗症とは少々原因が異なるため別の名称で呼ばれています。
辛い物を食べた時にかく汗です。辛さで神経が刺激されて、汗が分泌されます。特に頭や額の汗が目立ちます。
以上のように汗の種類は3つに分けられますが、全て交感神経の働きによって調整されています。
汗は何から作られているかご存知ですか?
汗は血液から作られています。体温が上昇すると発汗の準備のため、血液からミネラル分と水分が汗腺に取り込まれます。この時、身体にとって大切なミネラル分は殆どが血液の中に再吸収され、水分だけが皮膚の表面から出てきます。これが本来の汗です。つまり良い汗(サラサラ汗)なのです。
ところが、発汗を促す交感神経の機能や汗腺の機能が鈍っていると、ミネラル分の再吸収が行われず、水分と一緒に皮膚の上に出てきます。これが悪い汗(ベタベタ汗)です。
運動が不足しがちな人に多く見られる現象です。ミネラルは体の生理機能を円滑にする大切な栄養素です。それが悪い汗とともに体外に流出し、不足状態に陥ってしまうと内蔵の機能低下など様々な体調不良をもたらすことになります。
良い汗をかくためには、普段から適度に汗をかくように心掛けておくことが大切です。運動を全くしないでいると、自律神経が狂い始め、あまり使われない汗腺も機能が低下してしまいます。体温の上昇とともに自然に汗をかく生活を心掛けましょう。
1日に20分~30分でもいいのでウォーキングや自転車などで体を動かし、日頃から汗をかくようにすれば、汗腺が鍛えられていい汗が出るようになります。
実は汗そのものに臭いはほとんどない?
汗=臭う と思われがちですが、体温調節のために出される汗には実は臭いがほとんどありません。汗が細菌によって分解された時に生じる分解臭や、汗に含まれる成分が変化することによって生じる酸化臭が嫌な臭いの原因なのです。
人の皮膚にはもともと皮膚常在菌といういくつもの細菌が存在します。汗をかくと皮膚が湿るため、細菌が増殖しやすくなり、増殖した細菌によって、汗の成分や皮脂や垢が分解されることで分解臭が発生し、また、皮脂が汗の成分に含まれる鉄イオンによって酸化されることで酸化臭も発生します。これが汗の臭いの原因となるのです。
汗を分泌する汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺の2種類があります。エクリン腺は生まれた時から全身にあり、アポクリン腺は思春期になると脇や陰部などの特定の場所で発達します。エクリン腺からの汗は主に体温調節を目的とした汗で、ほぼ水分です。
そのため、あまり臭いを発生しません。通常「汗をかいた」と感じた時は、エクリン腺から出る汗を指します。アポクリン腺は強い緊張や興奮などにより汗を分泌しますが、水分の他に脂質、タンパク質、アンモニア、尿素、鉄分などを含んでおり、臭いを発生しやすいという特徴があります。ワキガの悪臭は、主にこのアポクリン腺が原因と言われています。
ワキガと関わりの深い、2つの汗腺の特徴は以下のとおりです。
エクリン腺は毛穴に関係なく、手の平や、足の裏など全身にあります。
無色透明の分泌液
成分は水と少量の塩分
主に体温調節の働き
アポクリン腺は毛穴と一緒に存在、主に脇の下や陰部や耳の中などに多くあります。
乳白色の分泌液
成分は脂質、タンパク質、アンモニア、尿素、鉄分などが含まれている
本来はフェロモンの働き、現代人にはあまり必要ない器官とも言われている。
発汗は交感神経が調整しています。つまり汗と自律神経はとても深く関わっているのです。ご存知かもしれませんが、自律神経は自分の思った通りにコントロールするのは難しいです。そのため上手く汗をコントロールするのも難しいといえます。
汗を調節する機能が乱れてしまう病気
多汗症は体温調節の範囲を越えた、多量の汗が出てしまう病気です。人によっては体から滴り落ちる程の汗がでますので、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。好発部位は手の平、足裏、脇の下、額などです。こういった部分的に起こるものを局所性多汗症と呼びます。
また全身に起こるものを全身性多汗症と呼びます。ただの汗かきでは?と誤解されやすいですが、全くの別物です。多汗症は特に理由もなく、何もしていなくても多量の汗が出ます。つまり汗かきは体温調節の際に多量の汗をかいてしまうこと。多汗症は身体機能の失調によって引き起こされる異常な発汗です。
例えば手の平の場合、手が汗でびっしょりと濡れてしまうため、大切な書類を傷ませてしまったり、電気機器などを壊してしまうこともあります。足裏の場合、いつも湿っているため、汗で蒸れて臭いがきつくなったり、細菌が繁殖して、水虫になるリスクも増えます。脇の下の場合、衣類の汗ジミに悩まされたり、アポクリン腺も多い場所のため、そのままにしておくと悪臭を放つことがあります。
また顔や頭の場合、額や頭皮から汗が噴き出し、顔や髪の毛が濡れてしまうため、気になってしまい、人とのコミュニケーションにかなりの精神的な苦痛を感じてしまいます。さらに頭皮に皮脂や汚れが詰まってしまうため、フケが多くみられる方もいます。この様に多汗症は大量の発汗に悩まされるだけでなく、精神的ストレスが非常に大きい病気です。
多汗症は、原因となる病気(甲状腺機能亢進症や下垂体の疾患、糖尿病、悪性リンパ腫、更年期障害等の病気。または特定の薬の服用等)があって起こる続発性多汗症と、現代医学でも明らかな原因がわからない原発性多汗症があります。原因がはっきりしている続発性多汗症の場合は、元の病気を治せば汗の症状も改善されていきます。しかし、明らかな原因がわからない原発性多汗症の場合は、なかなか改善が見られず、長い間悩んでしまう方が多いでしょう。
自律神経の乱れを整える多汗症の治療法
多汗症の治療法は一般的に塗り薬・制汗剤(塩化アルミニウム液)や内服薬(抗コリン剤)、電気治療(イオントフォレーシス)、注射(ボトックス注射)、漢方、そして手術(ETSやせん徐法)です。それぞれ副作用やメリット、デメリットがあるため、そのことを理解したうえで行う必要があります。横浜アーク整体院では多汗症の原因は自律神経の乱れ、交感神経の異常緊張と考えています。
お薬や手術ではなく、自律神経(交感神経)を整体療法で正常な状態に戻す施術をします。自律神経の中枢である脳室・頭蓋骨をはじめ、自律神経とは関わりの深い内臓・硬膜・隔膜・脳脊髄液などの、神経症状を改善させる専門的な施術を行っております。
また心理カウンセリングの専門家もいるため、精神性発汗型多汗でお悩みの方にもしっかり対応できます。カラダだけでなく、ココロのサポートも万全です。いろいろ検査したが、はっきりとした多汗症の原因が分からない、通院しているがなかなか良くならない、そんな辛い多汗症やワキガでお悩みの方は、良質治療の横浜アーク整体院までお気軽にご相談下さい。多汗症の治療は自律神経が絡んでいるため長期戦になることが多いです。慌てずゆっくり治していきましょう。
多汗症は非常につらく苦しいものですが、周りの人には悩みが理解されにくいものです。それどころか、本人ですら病気と気づいていないこともあります。もしあなたがこのページを見て多汗症やワキガかもしれないと思ったら、まずは病院で診察を受けてみて下さい(まずは皮膚科へ、その後状態により外科や心療内科へ)。
それが続発性なのか原発性なのか、原因を把握した上で治療することが大切です。また多汗症ぐらい我慢すれば大丈夫と思っている方も注意が必要です。特に寝汗の症状も出ている方は白血病や結核といった意外な病気が隠れている場合もあります。
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